静かに心を照らすような旋律と、suisの凛とした声が響く「灯星(ともしぼし)」。
この楽曲は、映画『この夏の星を見る』の主題歌として書き下ろされました。
天体観測に挑んだ高校生たちの姿と、「灯星」の歌詞は、どう結びついているのでしょうか。
今回は、言葉や構造を丁寧に読み解きながら、この曲が伝える“帰れない夏”と“それでも灯る希望”について考察していきます。
※当サイトでは、音楽を聴いて感じたことを個人で考察・発信しています。
読者の皆さんにも、新たな視点や楽しみ方が届けば幸いです。
haruka nakamura + suis from ヨルシカ のプロフィール
haruka nakamura
ハルカ・ナカムラ は、青森県出身の音楽家です。
2024年に公開された劇場アニメ「ルックバック」では劇伴音楽と主題歌を担当しており、同作品は日本アカデミー最優秀アニメーション作品賞を受賞しています。
suis
suisはコンポーザーのn-bunaが2017年に結成した音楽ユニットのボーカル。
n-bunaの文学的な歌詞と、ボーカルsuisの透明感のある歌声で人気を博しているバンドです。
唯一無二の、力強くも透明感を感じる歌唱で人気を博しています。
灯星 の基本情報
灯星の基本情報は以下の通りです!
楽曲名:灯星(ともしぼし)
アーティスト名:haruka nakamura + suis from ヨルシカ
発売日:2025年6月27日(配信リリース)
ジャンル:Jポップ
収録アルバム:灯星(シングル)
作詞:haruka nakamura
作曲:haruka nakamura
タイアップ:映画「この夏の星を見る」 主題歌
「灯星」は映画「この夏の星を見る」の主題歌として書き下ろされた作品です。
原作は辻村深月の同名小説「この夏の星を見る」です。
なお、タイトル「灯星」の読みは ともしぼし です。
「灯星」とは何を意味する言葉なのか
まず印象的なのは、タイトル「灯星(ともしぼし)」です。
この言葉は辞書には載っていない造語的表現ですが、「灯(ともし)」=灯り、「星」=遠くの光を連想させます。
つまり“灯星”とは、「暗闇の中で進むべき道を照らす星」「個人の心に宿る小さな希望」とも解釈できます。
夜空に一際輝く一等星のように、誰かを導く光――それは、映画に登場する天文部員たちの絆や、離れていても繋がろうとした気持ちと重なります。
星を見ることがテーマである「この夏の星を見る」映画にぴったりの曲名とテーマであると感じました。
新しい朝に、まだ聞こえない「君の声」
新しい朝の日に
答えはもう
みえていたんだろう
灯星 / haruka nakamura + suis from ヨルシカ
この冒頭では、“答え”はもう出ているにもかかわらず、まだ何かが足りていないと感じている主人公の心情が描かれています。
続く一節ではこう歌われます。
世界は もう でも、
君の声を まだ
聞かせてもらってないから
灯星 / haruka nakamura + suis from ヨルシカ
“もう世界は進んでいる”のに、“君の声”だけが聞こえない――。
時間は流れていくけれど、大切な人との関係だけが置き去りになっている。この“声を聞いていない”という表現には、物理的な距離だけでなく、心の距離や断絶も感じられます。
これは映画のテーマである「リモートでつながった仲間たち」にも通じます。
声が聞こえない不安、それでもつながりを信じたい気持ちが、静かに滲んでいます。
星クズはどこに蒔かれ、星々はどこで咲くのか
星クズ
どこに蒔いた
新しい希望の中で星々
灯星 / haruka nakamura + suis from ヨルシカ
どこに咲いた
新しい光の中で
ここでは、“星クズ”を種、“星々”を花のように扱った、希望のメタファーが用いられています。
一度は散ってしまったように見える“星クズ”が、やがて“新しい光”の中で咲く――これは、過去の痛みや失敗も、未来にとっての“芽”になるというメッセージに読み取れます。
映画に登場する高校生たちが、感染症で失われた日常の中でも“新しい形のつながり”を探していたこととも深く重なります。
「過ぎ去った時間を無駄にしない」――そんな優しい覚悟が、この歌詞には宿っています。
時を「洗い流すように」吹く風
そして
風は今日も また
運んでくるんだろ
流れた 時を
まるで
洗い流すように
灯星 / haruka nakamura + suis from ヨルシカ
ここでは、風が“時”を運び、さらには“洗い流す”存在として描かれています。
風は、過去の痛みや迷い、取り戻せない日々を、少しずつ軽くしてくれる存在なのかもしれません。
この“風”が何度も繰り返される構造は、日々の繰り返しや時間の循環を象徴しているようにも感じられます。
それはつまり、「戻れない日々を受け入れながらも、生きていく」ことへの静かな祈りと言い換えることもできます。
丘の上へ駆けたあの夏に「そっと」帰る
やがて
振り返らずに
丘の上へ駆けた
あの夏の日に
そっと
帰っていくんだろう
灯星 / haruka nakamura + suis from ヨルシカ
ここは、曲の中でも特に情景が鮮明なパートです。
「丘の上へ駆ける」という描写には、青春の象徴や、未来への疾走感が宿ります。
“振り返らずに”駆けた姿勢は、過去を断ち切って前に進んだ自分を思い出しているようであり、同時に“そっと帰っていく”という言葉には、時間を巻き戻すような懐かしさがあります。
ここには、前に進みながらも過去を慈しむ、矛盾したようで自然な人間の心の動きが描かれていると感じました。
失われた夏を取り戻すために奮闘する主人公たちの様子が描かれる映画とのリンクを強く感じます。
「戻れない」現実と、「照らす」光
あの日々には
戻れないよ
なくしたんだ
君への切符
でも星は
ただ一つの
ゆくさきを
照らしていた
灯星 / haruka nakamura + suis from ヨルシカ
この部分では、“戻れない”ことを明確に認めています。
大切な人との関係、過ぎた夏の日々、それらはもう二度と手に入らない。
けれど、そんな中でも「星はただ一つのゆくさきを照らしていた」。
希望は、“過去に戻ること”ではなく、“これからの道を選ぶこと”にある。
この確信が、曲の中盤から後半にかけて静かに力強さを帯びていきます。
「灯星」という曲名はその照らされた行く先を表しているのではないでしょうか。
“君への切符”という表現は、「一緒にいられるはずだった未来」へのメタファーとして胸に刺さります。
映画との結びつき──なぜ「灯星」が主題歌なのか
映画『この夏の星を見る』では、コロナ禍の中で制限された高校生活を過ごす中高生たちが、オンライン天体観測を通じて心を通わせていきます。
リモートという物理的な距離。
“星を見上げる”という同じ視点。
離れていても、同じ空の下で何かを共有する時間。
「灯星」は、そうした“声にならないつながり”や“取り戻せない時間を慈しむ気持ち”を、音楽として表現しています。
haruka nakamuraさんが語ったように「夕暮れにひとつの星が登ってくるような楽曲」──それはまさに、映画全体のテーマと重なり合う光です。
J-WAVEで独占オンエア中! haruka nakamura + suis from ヨルシカによる映画『この夏の星を見る』の主題歌 | J-WAVE NEWS
「灯星」が伝える本当のメッセージ
この曲を何度も聴いて感じたのは、以下のようなメッセージです。
- 誰にも“戻れない場所”がある
- でも、その記憶が“進むべき道”をそっと照らしてくれる
- 人はそれぞれの灯星を胸に持って、今を生きている
あの夏の日に、戻れない。
けれど、見上げればそこには光る星がある。
その星は、きっと“過去”でも“未来”でもない、「今の私」の道しるべなのだと「灯星」は教えてくれています。
おわりに
「灯星」は、静かだけれど確かな希望の歌。
君の声が聞こえなくても、星が咲く場所がわからなくても、それでも前に進もうとする心を優しく包み込んでくれます。
そしてそれは、映画『この夏の星を見る』の主題歌として、ただ作品を彩る以上に、“私たち自身の物語”とも重なっていくのです。
この夏、あなたにとっての“灯星”をこの楽曲とともに見つけられますように。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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