Creepy Nutsの新曲「Mirage」は、TVアニメ『よふかしのうた Season2』のオープニングテーマとして書き下ろされた楽曲です。
この曲は夜という時間に潜むリアルな感情、特に「未練」「後悔」「逃避」といった大人の心情をえぐり出しています。
R-指定は、この曲について次のようにコメントしています。
Season1で描かれたのは夜のカラッとした優しさとそこに救われた者達の避難所としての側面。
対してSeason2で描かれるのは、夜の湿っぽさと未練や後悔を投棄する場所としての側面。
そしてそれと折り合いをつけようともがく大人達の姿。
朝昼に生きなきゃ、良い加減手を切らなきゃと思いながらズルズルと…
そんな自分と夜のただれた関係について描いた楽曲になっています。
この発言は、歌詞の読み解きにおいて非常に重要なヒントになります。
アニメ「よふかしのうた」のタイトルの由来は、Creepy Nuts の同名の楽曲「よふかしのうた」です。
「ずっと今日が終わらない 明日を始められない」R-指定の表現する夜はどうしてこんなにも魅力的なのでしょうか。
ここからは、歌詞の言葉一つひとつを丁寧に追いかけながら、「Mirage」が描く世界を考察していきます。
Creepy Nuts の基本情報
Creepy Nuts は、大阪府堺市出身のラッパー R-指定 と、
新潟県長岡市出身のDJ DJ松永 の1MC1DJのヒップホップユニットです。
R-指定はラップバトルの日本一を決める大会UMB(ULTIMATE MC BATTLE)で3連覇(2012~2014)、DJ松永はDJの世界一を決める大会DMCのバトル部門で優勝した経歴をもつ、人気と実力を兼ね備えたアーティストです。
2017年にSony Music よりメジャーデビュー。
2020年には武道館でのライブを成功させています。
そして2024年1月にリリースしたBling-Bang-Bang-Born は世界中で大ヒットし、ストリーミング累計再生回数は7億回を超えています。
2025年には東京ドームでの公演も成功させ、同年にアジアツアーを開催しています。
国内外の人気が留まるところを知りません。

「Mirage」の基本情報
楽曲「Mirage」の基本情報を整理しておきます。
- 楽曲名:Mirage
- アーティスト名:Creepy Nuts
- 発売日:2025年7月4日(配信リリース)
- ジャンル:Jヒップホップ
- 収録アルバム:Mirage(シングル)
- 作詞:R-指定
- 作曲:DJ松永
- タイアップ:TVアニメ『よふかしのうた Season2』のオープニングテーマ
2025年2月のアルバム「LEGION」以来の新曲リリースです。
アニメ「よふかしのうた」の主題歌は、第1期のオープニングテーマ「堕天」、エンディングテーマ「よふかしのうた」、挿入歌「ロスタイム」に続く起用です。
また、2期のエンディングテーマ「眠れ」も7/5にリリース。
2期に挿入歌はあるのか?にも期待がかかりますよね。
ちなみに曲の雰囲気を一手に引き受けるアコースティックギターは SANABAGUN の磯貝一樹さんが演奏されているそうです。
タイトル「Mirage」が示す意味とは?──夜に見た“幻”
まず「Mirage」というタイトルに注目してみます。
これは日本語で「蜃気楼」や「幻影」という意味を持ちます。
目に見えているのに、近づくと消えてしまう。
つまり、「実体がないのに、確かに存在するように見えるもの」です。
このタイトルが象徴するのは、夜に感じる恋心や衝動、忘れたはずの未練など、理性では説明できない感情たちです。
夜の中にいるとき、それらは本物のように思える。ですが、朝になって現実に戻ると、それが幻想だったことに気づく。
この“夜の幻”こそが「Mirage」の核であり、まさに『よふかしのうた』Season2のテーマとも呼応しています。
冒頭の4行に込められた夜の“湿度”と未練
明かりの灯ったmidnight
エゴと欲と未練が行き交う
雨にぼやけた視界
ネオンがなぞる濡れた輪郭
Mirage / Creepy Nuts
この冒頭部分には、Season1の“カラッとした夜”とは真逆の世界が広がっています。
「雨」「ぼやけた視界」「濡れた輪郭」──これらのキーワードが作り出すのは、湿度のある、感情がにじみ出てしまう夜の風景です。
「エゴと欲と未練が行き交う」という描写からも、夜がただの癒しや休息の時間ではなく、隠しきれない感情が交差する場所であることがわかります。
この時点で、私たちは“投棄”するつもりだった感情に、すでに足を取られているのです。
サビに繰り返される“幻影”への依存と破綻
呆れた顔でgoodnight
追いつけたと思えばmirage
あの日のままで触れたい
とっくに脱ぎ捨ててた品格
Mirage / Creepy Nuts
このサビでは、夜に繰り返される「関係のループ」が描かれています。
相手との距離が縮まったと思った瞬間に、それは蜃気楼だったと気づく。
「追いつけたと思えばmirage」というフレーズが、その落差を象徴しています。
さらに、「とっくに脱ぎ捨ててた品格」は、夜の中で何度も理性を手放してしまった自分への苦笑いのように感じられます。
あの日のままで触れたいと願うのに、それは幻想のように消えてしまいます。
ここにあるのは、“わかっているのにやめられない”という、大人の逃避と依存の構造です。
昼と夜の顔を持つ自分──それでも夜をやめられない
俺にゃ家庭があって生活があってやな…
放っとかんて uh‑huh
俺が嘘つく前にとっくに跨ってら
Mirage / Creepy Nuts
このパートでR-指定自身のパーソナルな部分にも光が当てられるパートです。
家庭があるR-指定にとって普通に考えれば、夜の誘惑からは距離を取るべき立場です。
でも現実には、「放っとかんて」と言い訳のように繰り返しながら、夜の中へと足を踏み入れてしまっています。
この感覚は、R-指定さんが語った「ズルズルと…」という表現と完全に一致しています。
自分でもわかっているのに、止められない。その矛盾が、この楽曲には正直に描かれているのです。
吸血鬼というモチーフが照らす“夜の自分”
血が昇ったら始まっちゃう
共食いしてる Chupacabra
日が昇ったら灰になっちゃう
棺桶にフタして Dracula
Mirage / Creepy Nuts
ここに登場するのは、吸血鬼(Dracula)のメタファーです。
『よふかしのうた』とリンクする設定ですが、それだけではありません。
この“吸血鬼”は、夜の衝動に呑まれて本性を現す自分自身の投影でもあると思いました。
ちなみにチュパカブラ(Chupacabra)も血を吸うという点ではリンクしています。
チュパカブラは未確認生物であり、ヤギの血を吸うとされているのです。
UMAや土着信仰やオカルトチックな分野に明るいR-指定らしいリリックであると感じました。
これは「はらぺこあおむし」でのリリック「お前のパパはGOATやから・・・」にかけているのでしょうか?
夜になると理性が崩れ、何かにすがるように誰かと関係を持ち、朝が来たら何もなかったかのように“棺桶にフタをする”。
ですが、その夜に自分が何をしたのか、何を感じたのかは痕跡として確実に残るのです。
首筋に残る“夜の痕跡”
そしてまた お前の中
ペンを突き立てる柔肌
戻るただ 平凡なパパ
隠す首筋の歯形 yeah yeah
Mirage / Creepy Nuts
ここで描かれるのは、夜と昼のあいだを往復する“二重生活者”の姿です。
日常では「平凡なパパ」として生きていても、その首筋には「夜の痕跡=歯形」がしっかりと残っています。
夜は音楽生活を表しているのでしょうか。
お前の中 ペンを突き立てる柔肌 という表現はまっさらのノートに歌詞を書きつけていくR-指定の様子が想像されます。
夜の音楽生活と、昼間の家庭での生活の両面を感じさせるバースです。
エマニエルや阿婆擦れでも似たような比喩表現がありましたよね。

『よふかしのうた』との共鳴──恋も過去も、すべてが幻
『よふかしのうた Season2』では、吸血鬼としての自分に葛藤するナズナと、それに惹かれるコウ、そして吸血鬼を排除しようとする探偵・鶯餡子が登場します。
ナズナには人間時代の記憶がないという設定もあり、彼女自身が「幻影的存在」となっています。
恋なのか依存なのか。生きる意味なのか、逃げなのか。
登場人物たちは、自分が見ているものが“本物”なのか“Mirage”なのか、分からないまま夜に踏み出していくのです。
この構造は、「Mirage」という楽曲の世界観ともマッチしていますよね。
なぜ「Mirage」は、今を生きる大人の心に刺さるのか
この楽曲が多くの人の心に深く突き刺さるのは、夜というテーマを通じて、誰もが抱える“隠された顔”を暴いてしまうからです。
平日、外で働く”昼の顔”と一方で家に帰った後や休日の”夜の顔”
- 思い出してしまう誰かのこと
- 自分でも理由がわからないまま繰り返す夜遊び
- 昼の顔では語れない弱さや未練
それらを、「ただれた関係」として正面から描いたからこそ、ここまでリアルで、痛いほど響くのだと思います。
結論:「Mirage」は、夜と向き合う覚悟を問う歌
夜は、ただの逃げ場所ではありません。
忘れたかったこと、消したかった記憶、捨てたはずの未練――そうしたものが夜には溶け込んでいます。
私たちはそこに救いを求めながら、実は自分をさらに深く追い詰めているのかもしれません。
Creepy Nuts「Mirage」は、その夜との関係を正面から描き、聴き手に問いかけてきます。
あなたにとっての夜は、果たして幻なのか。それとも、あまりにリアルすぎる真実なのか。
その答えは、誰かに語るものではなく、自分の胸の内にそっとしまっておくものかもしれません。
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