2024年1月24日TBS系ドラマ「不適切にもほどがある」の主題歌である「二度寝 – Nidone」が配信でリリースされました。
また、2025年2月5日にリリースされた新アルバム「LEGION」にも収録されています。
今回はそんな「二度寝 – Nidone」について考察・解説をしていきます。
Creepy Nuts の基本情報
Creepy Nuts は、大阪府堺市出身のラッパー R-指定 と、
新潟県長岡市出身のDJ DJ松永 の1MC1DJのヒップホップユニットです。
R-指定はラップバトルの日本一を決める大会UMB(ULTIMATE MC BATTLE)で3連覇(2012~2014)、DJ松永はDJの世界一を決める大会DMCのバトル部門で優勝した経歴をもつ、人気と実力を兼ね備えたアーティストです。
2017年にSony Music よりメジャーデビュー。
2020年には武道館でのライブを成功させています。
そして2024年1月にリリースしたBling-Bang-Bang-Born は世界中で大ヒットし、ストリーミング累計再生回数は7億回を超えています。
2025年2月11日に東京ドーム公演を終え、アジアツアーの開催も発表されました。
海外進出でさらに活躍の場を広げる、まさに今躍進中のアーティストと言えます。

二度寝 – Nidone の基本情報
リリースはいつ?
2024年1月24日に配信リリースされています。
TBSのドラマ「不適切にもほどがある」の主題歌となっています。
また、2025年2月5日に配信リリースされた新アルバム「LEGION」にも収録されています。
アルバム「LEGION」はラジオ盤、ライブBlu-ray盤どちらも2025年3月12日リリース予定です。
人気ラジオ番組、オールナイトニッポンのパーソナリティとしても人気を博した Creepy Nuts ですから、ラジオを聴いていたファンとしてはラジオ盤も気になるところですよね。

アルバム「LEGION」 の収録曲
- 中学22年生 – 22nd year of junior high school
- Doppelgänger
- ビリケン – Biriken
- japanese
- ちゅだい – Chxxai
- Bling-Bang-Bang-Born
- エマニエル – Emmanuelle
- Get Higher
- はらぺこあおむし – The Very Hungry Caterpillar
- first penguin
- オトノケ – Otonoke
- 二度寝 – Nidone
- 通常回 – Tsujoukai
- mart
- LEGION
黄色の下線を引いたものが今回のアルバムからの新出曲です。
今回は アルバムの12曲目に収録されている 二度寝 – Nidone の歌詞の意味を考察・解説をしていきます。
二度寝 – Nidone の歌詞考察・解説
さっそく 二度寝 – Nidone の歌詞について考察・解説していきます。
大きくは以下の三本立てで歌詞を考察・解説します!
- タイトルについての考察・解説
- 曲のテーマについての考察・解説
- 考察のまとめ
タイトル「二度寝 – Nidone」に込められた意味の考察・解説
初めに曲のタイトル「二度寝 – Nidone」に込められている意味について考察・解説します。
結論から示すと「現実逃避」がテーマであると考察します。
二度寝 は、朝目が覚めた後再び眠りに落ちることです。
一度夢から覚め、見た現実から目を逸らすことであると言い換えられます。
また曲中には
エスケープしてみたい
・・・
エスケープし足りない
二度寝 – Nidone / Creepy Nuts
と、「エスケープ(逃げること)」についての言及があります。
「現実から逃げること」つまり現実逃避がタイトル「二度寝 – Nidone」に込められた意味であると考えます。
曲のテーマを考察・解説
ここからは、二度寝 – Nidone の歌詞の考察を通して、曲のテーマを解説します。
それぞれ、以下の三つの視点から歌詞を考察・解説します。
- 過去や未来への逃避願望
- 日本昔話からの引用
- 時代に取り残され、「不適切」な存在に
過去や未来への逃避願望
タイトル「二度寝 – Nidone」の意味は現実逃避であるとの考察をしました。
曲中では過去や未来への逃避について描かれます。
エスケープしてみたい
このバスに乗って未来へ
二度寝 – Nidone / Creepy Nuts
バスに乗って未来へ現実逃避したい。そんな気持ちを表した歌詞です。
順風そうな御伽の世界には
もう二度と戻れやしない
二度寝 – Nidone / Creepy Nuts
一方でこちらは過去へ逃避したい。そんな気持ちを表した歌詞です。
戻れやしないという表現から、過去であることが分かります。
また、周辺に日本昔ばなしに纏わるキーワードが散らばっていることから、「御伽(おとぎ)の世界」というワードも過去を示していることが分かります。
日本昔ばなしからの引用
R-指定お得意の、と言ってよいのか、洋画ではなく今回は日本昔ばなしからたっぷり引用があります。
- 浦島太郎
どこに居ても”こんな時代”と思ってしまうかも yeah yeah
Oh shit これじゃ浦島 玉手箱そっと蓋した
立ち昇る煙 全ては変わってしまってた
Oh shit おれは浦島 煙てぇーか昔話は
すれ違いざまに 咳払い顔しかめた
二度寝 – Nidone / Creepy Nuts
とても簡単に説明すると、
「浦島太郎」は亀を助けた浦島太郎が竜宮城に招待され、開けてはいけないとプレゼントされた玉手箱を開け、煙を浴びて年寄りに変化してしまう話です。
現代では、このエピソードが変化し、時代に取り残されている人を「浦島太郎」なんて表現したりしますよね。
R-指定は「浦島」「玉手箱」「煙」「昔話」のワードでここまでリスナーに想像させます。
Warning warning 不適切な語録
カチカチ気づきゃ火がついてくYummy yummy ここ掘れと笑う
めでたしのその先で構えてる yeah日に日にアップデートされてく
マサカリみたいに振りかざす正しさに怯えながら生きる
二度寝 – Nidone / Creepy Nuts
いつかのお利口さん
また、ここでは4つの日本昔ばなし作品を次々に仕込んでいます。
- かちかち山・・・だいぶ省略しますが、タヌキが背負う薪に気付かないうちにウサギが火をつけ成敗する物語です。
「不適切な語録」を使用し、炎上する様を表現していると考えられます。
カチカチ、は「かちかち山」を連想させるとともに、キーボードを打つことで簡単に炎上させられる現代の世相をキーボードの音で表現していると考えます。 - はなさかじいさん・・・犬が、「ここ掘れワンワン。」とお宝を見つける物語です。
「ここ掘れ」ではなさかじいさんを連想させます。
そして、「めでたしのその先で待ってる」という表現は、「めでたし、めでたし」という結びの言葉で終わる日本昔ばなしを明確に表していると言えます。 - 金太郎・・・マサカリを担いだ金太郎が動物たち携えクマを倒す物語です。
日々アップデートされていく「正しさ」の物差しをマサカリに例えています。 - 一休さん・・・持ち前のとんちと賢さで夜を渡り歩く坊主の物語です。
「お利口さん」という語から連想しました。
賢くとんちの利く一休さんでさえも正しさに怯えるような現代の炎上文化を皮肉っているように感じます。
その後も、
竜宮城や鬼ヶ島へ
数十秒で月の裏へ
二度寝 – Nidone / Creepy Nuts
「竜宮城」「鬼ヶ島」「月の裏」で、それぞれ「浦島太郎」「桃太郎」「かぐや姫」を連想させる表現も登場します。
さらにさらに、
飛ぶ鳥貶めて満足
猿蟹はまだ憎しみ合ってる
枯れ木に花咲けと願う
はじまりはじまりと急かす
明日に怯えながら眠る
二度寝 – Nidone / Creepy Nuts
いつかのお利口さん
「飛ぶ鳥:舌切り雀」「猿蟹:猿蟹合戦」「はじまりはじまり:日本昔ばなしのはじまりの挨拶」「お利口さん:一休さん」
時代に取り残され、「不適切」な存在に
こちらはTBSドラマ「不適切にもほどがある」の主題歌であるため、そちらにも掛かっていると考えられますが、楽曲のみでも十分考察の余地がありました。
「時代に取り残された」表現として上記の浦島太郎のほかにも、
どこに居ても”こんな時代”と思ってしまうかも
・・・
百害あって一利ない
でも一理あるジジイでいたい
二度寝 – Nidone / Creepy Nuts
俗に「老害」と言われるような、「あの時代は良かった」というような発言や「老害」を連想させる「百害」「ジジイ」という単語が登場します。
コンプラや「不適切」にまみれる時代に置いて行かれる様子を表しています。
「二度寝 – Nidone」解説・考察のまとめ
「二度寝 – Nidone」という曲のタイトルの考察からもテーマは「現実逃避」です。
曲の中では「バスに乗って未来へ」逃避することや、日本昔ばなしを引用して過去に逃避することについて描かれます。
また、日本昔ばなしを引用しつつ現代の社会に適応することの難しさと、時代に取り残されている現状を示しています。
そんな現実から逃れたい、二度寝したいと思いつつも最後には、
どんなのが待っていたってこの目で見てみたい
二度寝 – Nidone / Creepy Nuts
と、Creepy Nuts 自身の好奇心も見て取れます。
ひとことでまとめると:現代の社会に適応することに難しさを感じ、現実逃避したくなりつつも現実を見続けるCreepy Nuts の精神性を表している曲。と表現できそうです。
二度寝 – Nidone の感想
R-指定もDJ松永もまだ30代前半です。
老害 と呼ばれるにはまだ早い年齢ではないか、そう思いつつも若者の勢いがすさまじいのがCreepy Nuts が戦うヒップホップというジャンルです。
コンプライアンス、不適切、炎上と、とてつもない勢いで社会が変わっていく中で、彼ら自身の表現をしずらいというような状況があったのかもしれません。
自身を「浦島」と表現し、時代に取り残されていると表現している点はとても印象的でした。
それでも時代に合わせつつヒット曲をつくり、挑戦を続けるのは「どんなのが待っていたってこの目でみてみたい」そんな好奇心旺盛なCreepy Nuts のスピリットが関係していると思います。
そして今回の曲は日本昔ばなしからの引用が多すぎて、考察が大変でした。
R-指定は土着信仰的な方面にも興味があると聞いたことがあるので、そっちの方面で興味を持たれたんですかね。
そうではなくても日本昔ばなしはほとんどの日本人が教養として知っている内容でもありますから引用しやすかったのかもしれません。
R-指定の引用の守備範囲の広さには毎回驚かされっぱなしです。
以上、二度寝 – Nidoneの歌詞について考察と解説、最後に少し感想を書かせていただきました。
二度寝 – Nidone が収録されているアルバム「LEGION」とそれぞれの曲について考察や感想記事も書いていますので、興味を持たれた方は参考にしてみてください。
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