2025年2月5日、Creepy Nuts から新アルバム「LEGION」がリリースされました。
早速、今回のアルバムの新出曲10曲(インストを除くと9曲)の解説・考察を書いていきたいと思います!(ジャケット写真はおなじみ、スーパー玉出ですね)
いずれそれぞれの曲ごとに解説を記事にしたいと考えています!
世界中で大ヒットのBling-Bang-Bang-Born もアルバムに収録されていますね。
Creepy Nuts の基本情報
Creepy Nuts は、大阪府堺市出身のラッパー R指定 と、
新潟県長岡市出身のDJ DJ松永 の1MC1DJのヒップホップユニットです。
R指定はラップバトルの日本一を決める大会UMB(ULTIMATE MC BATTLE)で3連覇(2012~2014)、DJ松永はDJの世界一を決める大会DMCのバトル部門で優勝した経歴をもつ、人気と実力を兼ね備えたアーティストです。
2017年にSony Music よりメジャーデビュー。
2020年には武道館でのライブを成功させています。
そして2024年1月にリリースしたBling-Bang-Bang-Born は世界中で大ヒットし、ストリーミング累計再生回数は7億回を超えています。
2025年には東京ドームでの公演も控えており、まさに波に乗っているアーティストと言えます。
新アルバム「LEGION」の基本情報
リリースはいつ?
2025年2月5日に配信限定で先行リリースされています!
通常版の発売予定日は2025年3月12日です!
ラジオ盤、ライブBlu-ray盤も同様に2025年3月12日リリース予定です。
人気ラジオ番組、オールナイトニッポンでも人気を博した Creepy Nuts ですから、ラジオを聴いていたファンとしてはラジオ盤も気になるところですよね。
収録曲
- 中学22年生 – 22nd year of junior high school
- Doppelgänger
- ビリケン – Biriken
- japanese
- ちゅだい – Chxxai
- Bling-Bang-Bang-Born
- エマニエル – Emmanuelle
- Get Higher
- はらぺこあおむし – The Very Hungry Caterpillar
- first penguin
- オトノケ – Otonoke
- 二度寝 – Nidone
- 通常回 – Tsujoukai
- mart
- LEGION
黄色の下線を引いたものが今回のアルバムからの新出曲です。
インスト曲「mart」を除いた9曲について、さっそく解説していきます!
中学22年生 – 22nd year of junior high school
Creepy Nutsファンなら連想されるのは中学12年生ではないでしょうか。
アルバムを通してですが、初期を連想させる和風なビートが多めですよね。
Doppelgängerにも通じますが、引き算に引き算を重ねたようなビートはR-指定のラップを引き立てますね。
「たりないふたり」に収録される中学12年生から10年、未だに「中学生」な彼らを表現しているようです。
音楽の成績1やけど
中学22年生 – 22nd year of junior high school / Creepy Nuts
ビルボードで1位を獲る人生
「高校デビュー、大学デビュー、全部失敗したけどメジャーデビュー。」に似た言葉遊びですね。
中学12年生と、中学22年生の歌詞を比較
中学12年生と、中学22年生の歌詞を比較すると、対称になっている歌詞があることが分かります。
徹底的外弁慶
中学22年生 – 22nd year of junior high school / Creepy Nuts
井の中を飛び出して
茨道有刺鉄線
中学22年生
典型的な内弁慶
中学12年生 / Creepy Nuts
ギザギザハート
有刺鉄線
中学12年生
外弁慶と内弁慶、有刺鉄線、中学12年生と22年生。
きれいに対称になっている歌詞ですね。
まだまだ、時代を超えて踏んでいる韻があることでしょう、考察のし甲斐があります。
japanese
こちらも、中学22年生以上に和風を感じるビートですね。
2021年リリースのアルバム「case」を連想したのは僕だけでしょうか。
音の乗り方と、「カリカチュア」の言葉選びなどから連想してしまいました。
hookもほとんど英語である点と、「お前らの想像している日本人などほとんどいない」という表現から、Creepy Nutsのターゲットは既に海外にあることを明確に示していると感じます。
今後Creepy Nutsが海外でどのような躍進を見せていくのか楽しみです。
Creepy Nuts らしい「等身大」
尿検査 俺要らない
japanese / Creepy Nuts
No Gangsta No Thug Life 等身大
めちゃめちゃCreepy Nutsらしい歌詞だと感じました。
「合法的トビ方ノススメ」からCreepy Nutsは一貫して薬をやらないことを歌っていますね。
また、ギャングスタでもサグライフでもなく、「等身大」ごく普通の出自の彼らだからこそ刺さるものがあると感じます。
相方は from 新潟
japanese / Creepy Nuts
NAKAMURA じゃない MATSUNAGA
DJ松永がDMC(DJ世界一を決める大会)で優勝した際、
「DJ…… NAKAMURA!!」と間違えられた伝説のエピソードも歌詞に忍ばせています。
にやけてしまいますね。
ちゅだい – Chxxai
一回聞いたら、R-指定お得意の数字が耳に飛び込んできました
新宿バルトの9
ちゅだい – Chxxai / Creepy Nuts
その前に二郎に並んで待機
三角座りで泣いてるべっぴん
視界の端にキャッチ
いや無視無視無視
・・・
育ったからにはエースの意地
1:エース 2:二郎 3:三角座り 4:視界 5:
6:無視 7: 8:端 9:9
と数字を並べてますね。
5と7がどこかにあるはずだ!と周辺を探していましたが見つからず、、、
リズミカルなビートに、タイトにラップをしていっています。
ここ以外にも数字が所々にちりばめられているため、さらなる数字遊びや言葉探しを探したいと思います。
エマニエル – Emmanuelle
エマニエルの語源はヘブライ語の immanu’el だそうで、「神は私たちと共にいる」という意味だそうです。
- エマニエル・・・「エマニエル夫人」という1974年のフランス映画があります。
外交官の妻が性的欲望を開花させる様子を描いた作品だそうです。 - ニンフォマニアック・・・「ニンフォマニアック」という2013年のデンマーク映画があります。
過剰に性交渉を求める女性の人生を描いた作品だそうです
歌詞の中では歌詞を書く様子が描かれます。
嫁子供を放ったらかして
エマニエル – Emmanuelle / Creepy Nuts
言葉のケツ追っかけ回してる
また今夜もどっか出かけてく
ヒップホップに恋をし、追いかけるR指定の様子が描かれます。また、
I’m japanese ド HENTAI like 北斎 鉄棒ぬらぬら
エマニエル – Emmanuelle / Creepy Nuts
折れないペン先はヴィブラニウム
日本が世界に誇る春画師、葛飾北斎:別名は鉄棒ぬらぬら です。
そして、「折れないペン先」を、「ヴィブラニウム」に例えます。
「ヴィブラニウム」は、マーベルシリーズに登場する、ダイヤモンド以上の高度を持ち、ウラン以上のエネルギーを放出する金属です。
「エマニエル」や「ニンフォマニアック」のように、ヒップホップへの愛と歌詞を書く衝動を性的衝動に例えている楽曲です。
洋画からの引用がめちゃくちゃ多く、R指定らしさをひたすら感じる歌詞です。
Get Higher
ストーリーを感じる、壮大な曲です。
将来の夢は医者、そう適当にほざく若者の本当にやりたかったことは特殊メイクアップでした。
そんな若者が音楽に出会い、ラップバトルに出て有名になって、お金も得て結婚もして子どもが生まれて。
そんな軌跡を描いた曲です。
「アンサンブル・プレイ」のアルバムから、自分の人生ではなく他人の人生も書くようになったと語っていたR指定(どこかのインタビューです、出典なくてすみません)ですが、この曲はめちゃくちゃストレートに自分自身のことを描いている曲だと感じます。
なので、なぜか少し懐かしいあの頃のCreepy Nutsを感じます。
派手な言葉遊びはないような気がしますが、このアルバムで一番気に入った曲でした(なんて言いつつ言葉遊びを隠し入れているのがR指定だったりしますね)。
はらぺこあおむし – The Very Hungry Caterpillar
「はらぺこあおむしだった俺ら」の被せ?が梅田サイファーを感じさせるような曲ですね笑
実際、テークエムもネームドロップされています。
そして、「そういえば2人目生まれた」という衝撃の発表もされています!
おかわり無料のきゃべつを食べる俺たちを「はらぺこあおむしやんけ俺らw」と表現したことにインスピレーションを受けたのでしょうか。
第2子も生まれ、絵本を読んでるような想像もできる曲です。
「絵本はすでによだれでぐしゃぐしゃ」なんて歌詞もあります。
ほっこり曲ですね。
first penguin
海外に向け挑戦を続けるCreepy Nuts、就職氷河期に生まれ育った彼らの出自と掛けて勢いよくリズムに乗る楽曲です。
考察、、、むずかしい、
ティム・バートンが愛した哀しいアイツの気持ち良く分かるよ
first penguin / Creepy Nuts
欲張るぞ俺ももっと オズワルド・コブルポット
バットマンに登場するペンギンの本名が オズワルド・チェスターフィールド・コブルポット だそうですね。
「黒ずくめマントのヒーロー」なんて歌詞も出てきますので、そのあたりから更なる引用があるのかもしれません。
曲ごとに考察する際深めたいと思います!
通常回 – Tsujoukai
香港、ニューヨーク、韓国、東京ドームだって、ターンテーブルとマイクでやることはいつも変わらない。そんなブレない意志を感じる曲です。
R指定がラップを始めたきっかけだと語るRHYMESTERとの出会いについても描かれています。
家族が増えた日
通常回 – Tsujoukai / Creepy Nuts
もう1人増えた日
んでもう1人増えた日
きっと忘れない眺めていた分娩台
家族愛を感じますね。
ライブをして海外に飛び回って、子どもが生まれて、毎日が最終回みたい。
そんな日々もCreepy Nutsにとっては通常回です。
いや、通常回だと自身に言い聞かせる曲なのかもしれません。
曲は「手に汗握る出番の10秒前」で終わります。
やることは変わらない、緊張する自分に言い聞かせる曲のようにも感じます。
LEGION
「客演要らず」とは俺の事 に集約されるかと思います。
今回のアルバム「LEGION」もそうですが、Creepy Nuts の楽曲に客演が入ったことは無いのではないでしょうか。(菅田将暉との共作とは除きます)
R指定個人としても、客演として入ることはあっても客演でラッパーを呼んだことはあるのでしょうか?
俺に客演は不要だと、それを示すかのように七つの声色を使い分けてラップしています
恐らく統合失調症のマーベルヒーロー「レギオン」をモデルにした曲であると考えています。
右脳左脳割れアンビバレント
LEGION / Creepy Nuts
首脳会議今インサイドヘッド
思考が四方八方に分散している様子が伝わります。
アンビバレントは、一つの事柄について、相反する二つの気持ちを抱くことを言います。
四方八方に散らばる思考を、「インサイドヘッド」脳の中でまとめている様子が分かります。
「七色の思考」自分の中の多様な思考を「七色のフロー」で表現する自分こそLEGION「軍隊、群衆」なのです。
hookで、俺自体が「CREW,SQUAD,MOB,GROUP,FAMILY,TEAM,CYPHER,寄り合い,組合,群,衆,結社」
と続けています、それぞれ「LEGION」と訳せる単語です。
「LEGION」の表現すらここまで多様なのです。
音楽の表現方法はさらに多様である。そんな可能性を感じさせてくれる曲です。
感想
Bling-Bang-Bang-Born が世界的にヒットし、アルバムリリースを発表。
そんなタイミングであったので、「もしかしたらめちゃくちゃポップに寄ってしまうのではないか」という気持ちもありましたが、Creepy Nuts らしさあふれる聴きごたえのある曲たっぷりでした。
大満足です。
世間受けはどうなのでしょうか、気になるところです。
また、一ファンとしてCreepy Nuts の音楽が世界のどこまで届くのか、楽しみとともにめちゃくちゃ応援しています。
今回は「LEGION」から新出の9曲について、解説・考察しました。
また、曲ごとの考察も随時更新予定です!
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