NEEの「マニック」は、2024年5月にこの世を去ったボーカル・村上蔵馬(くぅ)さんの不在の中、3人体制となったNEEが初めてリリースした楽曲です。
この曲には、NEEが乗り越えてきた混沌と、再び音楽を鳴らすことの意味が詰まっています。
歌詞と背景を丁寧に追っていくと、NEEがこの曲に込めた深い感情に気づかされます。
この記事では、歌詞とバンドの背景を行き来しながら、「マニック」の核心に迫っていきます。
※当サイトでは、音楽を聴いて感じたことを個人で考察・発信しています。
読者の皆さんにも、新たな視点や楽しみ方が届けば幸いです。
NEE のプロフィール
NEEは2017年に結成されたロックバンドです。
メンバーは、
- ボーカルギター:くぅ(村上蔵馬)
- ギター:夕日
- ベース:かほ
- ドラム:大樹
2019年リリースの楽曲「歩く花」や、2020年リリースの「不革命前夜」などでNEEを知った方も多いのではないのでしょうか。
若者を中心に広くファンを増やしていったNEEですが、2024年にボーカルのくぅ(村上蔵馬)が死去。
その後は3人体制でアーティスト活動を継続しています。
「マニック」は3人体制となって初めての制作作品です。
マニック の基本情報
マニック の基本情報は以下の通りです!
楽曲名:マニック
アーティスト名:NEE
発売日:2025年5月28日(配信リリース)
ジャンル:Jロック
収録アルバム:マニック(シングル)
作詞:夕日
作曲:夕日
3人体制での初のリリース作品です。
そのため、作詞作曲はくぅではなく夕日。
それでもNEEらしさあふれる歌詞と楽曲でした!
🎧 曲名「マニック」に込められた意味とは
「マニック(manic)」は、精神医療の文脈で「躁状態」、つまり異常なほどテンションが高く、思考や行動が制御できなくなる状態を意味します。
これは単なる精神状態の説明にとどまらず、この楽曲全体の感情的ムードを象徴しています。
- 感情が高ぶりすぎて崩壊寸前
- 理性では処理できない混乱や痛み
- 生と死、絶望と希望が交錯するメンタルのゆらぎ
村上さんの不在という現実と向き合いながら、それでも前に進もうとするNEEの心理状況を考えると、「マニック」というタイトルはあまりにも切実です。
🧠 「私の頭の中から出ていって」:心を蝕む“声”と闘う主人公
私の頭の中から出ていって
ノイズに変わる前に
私の頭の中から出ていって
寂れた夢に変わる前に
マニック / NEE
このフレーズは、まるで頭の中に渦巻く思考や感情が“実体化”して、暴れ出しそうになる直前の苦しみを描いています。
「ノイズに変わる前に」という歌詞が象徴的です。
もともと美しかったはずのメロディ(=理想、夢)が、雑音として自分を苦しめるものに変質していく感覚。
それは、音楽を愛しながらも音に押しつぶされそうな、アーティスト自身のリアルかもしれません。
NEEは音楽で夢を追いかけていた。
だけど、その音楽が“ノイズ”になってしまった瞬間があった——。
そう考えると、これは喪失や葛藤の中で“もう一度音を信じたい”と願う、再出発の宣言のようにも聞こえます。
🖥「天井スクロール」:止まった時間と無限ループする現代
天井スクロール
さっきと同じ画面ばかり写る
何故こうなるのか
いつかわかるといいですね
サイキッカー
マニック / NEE
「天井スクロール」という言葉選びがおしゃれですよね。
私はこの表現を、ベッドに寝転びながらスマホをスクロールし続ける姿と重ねました。
そこにあるのは、止まった時間・無意味な情報の反復・変わらない日常です。
「サイキッカー」という突飛な単語は、超能力的な非現実への逃避願望を暗に示しているように感じます。
この日常の中に閉じ込められた主人公の「どうにか抜け出したい」という衝動。
それは村上さんの死後、NEEのメンバーが感じたかもしれない“前に進めない時間”と重なります。
💸 「納税から始まる罰ゲーム」:社会への怒りと皮肉
督促状 督促状
納税から始まる罰ゲーム
これは投与の合図
マニック / NEE
このセクションはNEEらしい社会批評が炸裂しています。
請求書、税金、責任、義務。
生きることは“やらされていること”の連続だ。
それを「罰ゲーム」「投与の合図」と形容するのは、薬を無理やり飲まされるように人生を押し付けられている感覚の現れでしょう。
でも、だからこそその後の「今日はこれでいいや」という諦念には、逆説的な優しさがあります。
“どうせ完璧に生きられない。だったら今日はこれでいい。”
それは、生きづらい世の中でも「存在するだけで価値がある」と言ってくれているような気がして、救われる歌詞でした。
🛎「いっそ昼に到来」:孤独と人間関係への切実な願い
いっそ昼に到来
ピンポンして頂戴
貸し借りなしさ
マニック / NEE
この部分では、誰かに来てほしい、でも重くならないでほしい、という矛盾した思いが表れています。
特に「貸し借りなしさ」という言葉には、誰かと対等でいたいという切なる願いが感じられます。
これは、村上さんがいたときのNEEのバランスと、それを失った後の歪みを思わせるパートでもあります。
1人がいいの
・・・
1人じゃきついぜ
マニック / NEE
この正反対のフレーズの連なりには、「本当は誰かにそばにいてほしい」という心情がそのまま映っています。
失ってはじめて気付く大切さ、そんな言葉を連想しました。
🌇 英語パートが映し出す“夜明け前の希望”
Save me from this cold back.
マニック / NEE
It’s so scary, how slow the earth moves.
Fortunately, still there is a courage to turn back.
I wait. Until Sunset, and I close my eyes.
冷たい現実(cold back)からの救いを願いながらも、「まだ戻る勇気はある」と語るこのパート。
それは「NEEとして、また音楽をやろう」という3人の決意のようにも響きます。
「I wait until sunset」という一文には、終わりを待ちながらも、再生の兆しを見出そうとする“静かな希望”が込められているように思えてなりません。
🌀 最後の「パラパッパー」は絶望ではなく、肯定
私の頭の中身はパラパッパー
ノイズに混ざるメロディーさ
私の頭の中からメディキュッと
寂れた夢が今も今も
マニック / NEE
「パラパッパー」は中毒性のある歌詞です。
「自分はまともじゃない」「でも、だからこそ面白い」と言っているような、自虐と肯定が共存する言葉。
「ノイズに混ざるメロディーさ」は、頭の中の混乱の中にも、まだ音楽を見つけられるという“再起”の意志を感じる歌詞です。
この一節は、まさにNEEが音楽で立ち上がろうとしている姿そのものです。
🔚 まとめ:「マニック」は喪失の先にある“NEEの再起宣言”
NEEの「マニック」は、単なる情緒不安定な曲ではありません。
それは、村上蔵馬さんを失った喪失と混乱。
止まった時間、社会への絶望、それでも「音楽を続けたい」という願い。
このすべてが詰まった、NEEの“再起宣言”です。
NEEは変わってしまった。それは変えられない。
でも、変わらずに音楽を鳴らし続けるという選択をした。
その音の中にある叫びのような作品に今後も注目です。
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