クジラアタマの王様:伊坂幸太郎著 の感想・概要

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本の基本情報

  • タイトル:クジラアタマの王様
  • 著者名:伊坂幸太郎
  • 出版社:NHK出版
  • 出版年:2019年
  • ジャンル:小説
  • 本文挿画:川口澄子(水登舎)

読んだ背景・目的

  • 読んだ背景
    今まで伊坂幸太郎さんの小説はたくさん読んできました。

    特に、「ゴールデンスランバー」は僕が小説をたくさん読み始めるきっかけになった本でもあります。
    小説を好きになり始めてすぐの、小学生の頃読んで、僕の読書好きを補強する一冊になりました。

    「重力ピエロ」が一番好きな作品です。
    作品の内容はもちろんですが、登場人物それぞれが個性に溢れていて、それぞれの考えを持っています。
    考えは、時に理解しがたいものもありますがユーモアに富んでいたり知性を感じさせられたり。
    そんな教養を感じる文章が好きで、伊坂幸太郎さんの小説を読んでいます。

    そんななか、まだ読んでいなかったという単純な理由で手に取りました!

本の概要

登場人物

岸:主人公。製菓会社の会社員
池野内議員:国会議員
小沢ヒジリ:アイドル

概要

  • 舞台
    舞台は現代日本です。製菓会社に勤める主人公:岸を中心に物語が描かれます。
    岸が巻き込まれる事件を通して、現実と夢が交錯し関わり合う不思議な世界が描かれています。
  • あらすじ
    テーマは「現実と夢」です。
    夢での戦いが現実の世界の出来事に影響を与える。
    そんな奇妙な話を池野内から聞かされた岸は初めは戸惑います。
    しかし夢に意識を向けると、現実での出来事との関連性を疑いきれなくなっていき、、、

    現実と夢、きれいな対比の中にありつつも交錯する両者の世界はどのように関連していくのか、解き明かしていく物語です。

感想・評価

良かった点

 この本が、2019年に出版されたとは信じられないほど、コロナ禍の日本を正確に描写しています。
小説の中では鳥インフルエンザ(新型インフルエンザ)という表記ではありますが、、、

 感染が拡大していく際の、疑心暗鬼や物品の買い占め、感染者批判やメディアスクラムなど、リアリティをもって記述されています。
 出版年を見るまで、コロナ禍を描写しているのだと勘違いするほど、リアリティのある描写でした。

気になった点

 強いて言うなら、池野内氏を批判していた学生が協力者になったりと、世界が狭く感じる点でしょうか。
 しかしその分登場人物の把握はしやすいですし、物語としてのつながりもスムーズです。


本の影響や学び

  • 「短期的には非難されても、大局的には大勢の人を救うほうを選ぶべき」
    という言葉が、印象的でした。
     この作品に限らず伊坂幸太郎さんの作品には、はっとさせられるようなセリフを放つ登場人物がたくさん出てきます。

   この言葉もですが、自らの行動を変容させるような言葉に出会える作品です。


誰におすすめか

  • 読書初心者さんにおすすめです!
    夢と現実の対比は、どなたでも経験することであるのでイメージがしやすいです。
    また、挿絵も入っているのでファンタジックな夢の中での戦いも、想像しやすくなっています。

    あとがきに書かれていますが、
    「昼は普通の会社員、夜になるとロールプレイングゲーム内の勇者」
    そんな構想から生まれた作品だと言います。

    なろう系や転生系などが流行っていますから、少し趣向は違うでしょうが設定として読みやすいのではないかと思いました!

一言まとめ

  • 「夢日記でもつけてみるか?となる本」
    本作、「夢」は大きなテーマだと感じています。

    現に登場人物の中でも夢について記憶したり日記をつけたりする人物も現れます。

  夢の中での行動が現実世界にどう影響を与えるのか、現実世界ではどうなのでしょうか?
  夢の中の行動と、現実世界の関連がわかったら面白そうです。

  ただ、夢日記をつけると現実と夢の狭間が分からなくなり精神病になるなんて迷信(?)もありますのでご注意くださいね。

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