君を愛したひとりの僕へ【感想】

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「君を愛したひとりの僕へ」乙野四方字 著

ギネス・カスケードのお酒から気づきを得た主人公暦。
ヒロイン栞を傷つけないための研究を人生を賭けて続けて、並行世界へタイムシフトを繰り返すSFチックなお話でした。

作品のテーマ

作品のテーマとしては、「一つの世界のあなたしか愛せない」ということであると考えました。
平行世界へ移動する主人公ですが、ヒロインが傷つく世界の彼女しか愛せないのです。

つまり、「あなたの変化の可能性」までは愛せないのです。
変わらない「あなた」、たったひとつの「あなた」しか愛せない主人公の話です。

正直、暦はなぜここまで執拗に栞に執着するのか?疑問を感じるほど栞を追いかける物語です。
なぜ栞にこだわるのか、そこに感情移入できない読者もいるかもしれません。

ただ、↓「僕が愛したすべての君へ」を読むと、著者の意図が分かったような気がしました。

「僕が愛したすべての君へ」

同時刊行の同著者による作品です。
この作品ではすべての世界のヒロインを愛することができるようになるのかな?なんて期待を膨らませつつ、「僕が愛したすべての君へ」を読み始めたいと思います.

作品の評価

個人的な感想です。
装丁を見たとき、ライトノベルっぽいなと思われた方も多いのではないかと思います。

確かにライトノベルとしても読めるのかもしれませんが、この連作には深いテーマが込められていると感じます。

SFチックな世界観、ただ確実に私たちの世界に問いかけるものがあります。

それは「愛」についてです。

「あなたを愛している、好き」私たちはそういいます。
ただ、「あなた」はどこの範囲までが「あなた」なのでしょうか。

「もし世界中が敵に回っても好き」そんな言い回しもありますが、
どこまでの「あなた」を想定して私たちは人を愛するのでしょうか。

そんな問いかけをされているような、寓意を感じる作品でした。

終わりに

初めて感想を書きました。
たくさん本を読んできましたが、感想を書くとなると、ただ読むだけとは違う理解力を求められているような気がしました。
いっぱい感想書いてレベルアップするぞー!

コメント

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